武蔵野の面影を残す閑静な街並みとの調和のとれた施設づくりを心がけました。
軒高・棟高は低くおさえ勾配屋根にし、内外装も、一般住宅用の自然素材をできるだけ取り入れ、木材のもつ柔らかい表情を生かしています。親子が近所の友達の家を訪ねるような感覚で来館してもらうことを期待しています。
また、スペースの多様性に配慮し、利用者のさまざまな目的に応じてフレキシブルに対応できる空間作りになっています。たとえば遊びの目的に応じて高さを変えられるステージや、部屋の隅の柱回りのコーナーでは子どもたちが自由な発想で遊ぶことができます。
子どものスケールに配慮し、ここでは子どもの視野を遮るような固定的な家具や備品をさけています。ドアは低い位置までガラスにして、中の様子が分かるようにしてあります。また、敷居をなくしたり、階段の段差を低くするなど、安全性にも十分配慮しています。
さらに、過剰な設備は極力避け、できるだけ自然の中で生活しているような環境づくりになっています。また、ソーラーシステムを導入して、できるかぎり省エネルギーに努めています。

落ち着いた環境を生かし、乳幼児と親と地域との新しいネットワーク作りを通し豊かな子育てコミュニティを実現するために、理念と表情（デザイン）と行動（活動の内容やスタッフの対応）の統合をめざすＣＩ手法による展開を試みています。
日本で初めての、子どもとその親のための施設づくりの「理念」と、その理念にもとづいた落ち着きと明るさのあるナチュラルな建築やインテリア・エクステリアデザイン、設備や備品、来館者の動線へも配慮したシンボルモニュメントとシンボルアート、さらには親しみのある動物の愛称やキャラクターマークを採用したサイン、スタッフのユニフォーム、リーフレットやチラシなどの広報物に至るまで、目に見えるすべての「表情」がそれです。未来を担う子どもが、本物に接することができる環境をつくる。そこから生まれる豊かな感性を基盤として、日々の「行動」を積み重ね、新しい子育てコミュニティの実現をめざしています。

（有）もりやけん企画室＋（株）ゼロ＋河本長門

大平和正

高柴牧子